サウンド設計

愛をこめて花束を|Synthesizer V 合唱カバー制作設定公開

Superfly「愛をこめて花束を」のSynthesizer V合唱カバー制作設定を解説する記事のアイキャッチ。DAWミキサーとフェーダー画面。
越賀

完成動画はこちらです。


花束が開く瞬間を作る

「愛をこめて花束を」は、
サビで一気に世界が広がる楽曲です。

今回の合唱では、

ただ声を重ねるのではなく、
サビで花が開くような広がり

を作ることをテーマにしました。

メロでは感情をため、
サビで解放する。

そしてブリッジで一度落ち着き、
転調で再び大きく開く。

音圧で盛り上げるのではなく、
構造で盛り上げる設計です。


🎙 制作コンセプト

越賀企画の基本思想

・空気感・透明感重視
・音圧よりハーモニー
・ピアノ伴奏中心
・上品で丁寧なミックス
・構造で盛り上げる
・リミッターは保険


🖥 制作環境

DAW
Studio One 7

ボーカル
Synthesizer V Studio 2 Pro

書き出し

WAV 24bit
48kHz
True Peak ON
Ceiling -1.0dB


🎙 ボーカル設計

今回の編成は混声三部。

Soprano
宮舞モカ

Alto
桜乃そら

Tenor
フリモメン


🐈‍⬛ 宮舞モカ(ソプラノ)

この曲の中心となる声。

主旋律として前に立ち、
サビでは感情を大きく広げる役割です。

音量だけで押し出すのではなく、
EQとフェーダーで輪郭を整え、
自然に前へ出る設計にしています。


🌸 桜乃そら(アルト)

合唱の空気を作る役割。

主旋律を支えながら、
和音の厚みを作ります。

アルトは派手ではありませんが、
合唱の安定感を支える重要なパートです。


🍥 フリモメン(テノール)

低域の土台。

合唱全体の重心を整え、
音の安定感を作ります。

数値上は小さめですが、
低域はエネルギーが強いため
存在感はしっかり残ります。


🎚 フェーダーバランス

ピアノを基準に調整しています。

Soprano(宮舞モカ)

Verse + PreChorus
-4.8 dB

Chorus
-3.8 dB

Bridge
-4.5 dB

FinalChorus
-3.2 dB


Alto(桜乃そら)

Verse + PreChorus + Bridge
-6.5 dB

Chorus
-6.0 dB

FinalChorus
-5.8 dB


Tenor(フリモメン)

Verse + PreChorus + Bridge
-8.5 dB

Chorus
-7.8 dB

FinalChorus
-7.2 dB


Piano

基準から
-1 dB

ボーカルを少し前に出すため、
ピアノはわずかに下げています。


🎧 パン設計

パンはセクションで変えていません。

Soprano
Center

Alto
L20

Tenor
R15

軽く左右に振ることで
立体感を作っています。

ただし広げすぎると
合唱のまとまりが崩れるため
控えめなパンにしています。

パンは「立ち位置」。

距離感は
リバーブのSendで作っています。


🎛 EQ設計

基本方針

・削りすぎない
・濁りを整理
・刺さり対策


Soprano(宮舞モカ)

LowCut
120Hz(12dB/Oct)

400Hz
-1.5dB

3.5kHz
-0.7dB

8kHz
+1dB

中低域の濁りを整理し、
高域の空気感を少し持ち上げています。


Alto(桜乃そら)

LowCut
100Hz

300Hz
-1.5dB

6kHz
+0.5〜1dB

和音の濁りを抑えつつ、
声の輪郭を少しだけ補強しています。


Tenor(フリモメン)

LowCut
80Hz

250Hz
-1.5dB

4.5kHz
+0.5〜1dB

低域の整理をしつつ、
発音の明瞭さをわずかに補強しています。


Piano

LowCut
70Hz

300Hz
-1〜-2dB

2.5kHz
-1dB

ボーカル帯域とぶつからないよう
濁りを整理しています。


🌫 リバーブ設計

Room Reverb

Type
Room

Size
3.6m

Length
1.3s

PreDelay
20ms

Width
0.8

Dampness
50%

Mix
100%(Send方式)


Send量

Soprano

Verse
-14

Bridge
-14.5

Chorus
-13

Final
-12.5


Alto
-15 前後

Tenor
-16 前後

Piano
-18

ピアノは
声より一歩奥に配置しています。


🎚 リミッター

Ceiling
-1.0 dB

Release
100ms

Threshold
約 -4.75

Gain Reduction
最大 約 -2.7dB

リミッターは
音圧を上げるためではなく
ピークの保険として使用しています。


🔊 最終ラウドネス

Integrated
約 -15 LUFS

True Peak
-1.1 dB

LRA
約 9.7

PLR
約 13.8


🎼 ミックス思想

重要なポイントは3つ。

① 音圧ではなく構造で盛り上げる

メロ

サビ

ブリッジ(落ち着き)

転調

Final解放


② リミッターは保険

メロではほぼ動かず、
サビのみ瞬間的に2〜3dB反応します。


③ EQは整えるだけ

刺さり対策
濁り整理

削りすぎないことを優先しています。


🎧 最終調整

最終段階で
ピアノを -1dB 下げました。

これにより

・ボーカルの存在感
・空間の透明感
・ソプラノの刺さり

が改善しました。


🎼 最終判断基準

ミックスの最終チェックでは
次のポイントを確認しています。

・鳥肌ポイントが残っているか
・転調の解放感があるか
・ソプラノが主役として立っているか
・何度でも聴けるか

数値はあくまで道具。

最終的な判断は
耳で決めています。


この音が、
あなたの心に
少しでも花束のように広がってくれたなら嬉しいです。

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越賀(コシカ)
越賀(コシカ)
越賀企画 代表
大型トラック運転手をしながら、Synthesizer Vでカバー制作をしています。 合唱アレンジやミックスなど、制作の試行錯誤をブログで記録しています。 現場から学び、挑戦を形にする。越賀企画。
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