DTM弾き語りを“生演奏っぽく”するミックスの考え方
Synthesizer V 弾き語り制作ノート
DTMで弾き語りを作るとき、
多くの人が一度は感じる違和感があります。
それは
「綺麗には聞こえるけど、生演奏っぽくない」
という感覚です。
私も最初は、
- ボーカルを前に出す
- ピアノを後ろに下げる
という、よくあるミックスを試しました。
ですが、その方法だと
歌とピアノが別の場所で鳴っているように聞こえる
ことが多かったのです。
教室で例えると、
- 先生がピアノを弾いている
- 少し離れた場所で子供が歌っている
そんな距離感です。
弾き語りでは
ピアノを弾いている人が、そのまま歌っている
この空間感が自然です。
そのため私は
ピアノと歌を近い位置に置くミックス
を意識しています。
ピアノが空間を作り、
その上に歌が自然に乗るイメージです。
フェーダーバランス

今回の弾き語りでは、フェーダーは次のバランスにしました。
- Vocal:0dB
- Piano:-2.6dB
ピアノを少しだけ下げることで、
- ピアノが主張しすぎない
- でも伴奏として存在感は残る
というバランスになります。
ピアノを0dBにすると
伴奏として少し強く感じることがあります。
逆にピアノを下げすぎると、
ピアノと歌の距離が離れて聞こえる
ため、このあたりのバランスが自然だと感じています。
EQ(音の整理)
ピアノとボーカルにはそれぞれEQを設定しています。
弾き語りでは音数が少ないため、
EQの小さな調整でも音の印象が大きく変わります。
例えば今回の調整では
ボーカル
MF 2.5kHz
+2dB → +1dB
ピアノ
LMF 300Hz
-2dB → -1dB
に変更しました。
この調整で
- ボーカルが前に出すぎる問題
- ピアノが小さく感じる問題
が改善されました。
EQは派手な調整よりも、
少し戻すことでバランスが整うこと
も多いと感じています。
リバーブ(空間)
ピアノとボーカルには
同じリバーブ(FXバス)をセンドで送っています。
この方法のメリットは
- ピアノ
- 歌
が
同じ空間で鳴っているように聞こえる
ことです。
弾き語りでは
「同じ場所で演奏している感覚」
がとても重要なので、
センドリバーブで空間を共有する方法
が自然だと感じています。
ラウドネスとダイナミクス
今回の弾き語りのラウドネスは次の通りです。

- Integrated:-16.9 LUFS
- Loudness Range:9.8 LU
- PSR:8.4
- PLR:15.8
ポップスのように
-14 LUFSを目指すミックスもありますが、
弾き語りでは
- ピアノの余韻
- 音のダイナミクス
を残したいので、
少し余裕のあるラウドネス
にしています。
参考として、ダイナミクス指標は次のような目安になります。
PSR(Peak to Short-term Ratio)
| PSR | 意味 |
|---|---|
| 4〜6 | 圧縮が強い |
| 6〜8 | 普通 |
| 8〜10 | 自然 |
| 10以上 | かなりダイナミック |
PLR(Peak to Loudness Ratio)
| PLR | 状態 |
|---|---|
| 6〜8 | かなり潰れている |
| 8〜10 | 普通のポップス |
| 10〜12 | ダイナミクスあり |
| 12〜16 | アコースティック系 |
| 16以上 | かなりナチュラル |
今回の数値は
アコースティック系として自然な範囲
になっています。
リミッター設定
リミッターは強くかけすぎないようにしています。

設定は次の通りです。
- Gain:1.45
- Ceiling:-1.0
- Threshold:-4.0
- Reduction:-1.92 dB
リミッターを強くかけすぎると
- ピアノの余韻
- ダイナミクス
が潰れてしまうため、
ピークを整える程度の処理
にしています。
DTM弾き語りは「音数の少なさ」と向き合うミックス
合唱の場合は
- 声が重なる
- 音の密度が増える
ため、比較的簡単に
-14 LUFS付近を目指すことができます。
しかし弾き語りでは
- ピアノ
- ボーカル
この2つしかありません。
そのため無理に音圧を上げると
ピアノの余韻が潰れてしまう
ことがあります。
今回のミックスは
DTMで作りながら、生演奏の雰囲気に近づける
という考え方で調整しています。
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弾き語りミックスの設定値も、
今後少しずつ公開していく予定です。
